低中所得国における医療技術評価を活用した効率的な医療資源配分の推進

本事業では、アジア・アフリカの低中所得国における医療財政システム強化およびユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を推進させるため、特に医療技術評価(HTA)を用いた医療予算配分の効率化に係る政策支援を行うための国際研究交流拠点、若手研究者・政策担当者育成のための拠点を構築することを目指します。

 

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは、医療において国民全体が「質の高い保健医療サービスへのアクセス」でき、「サービス利用に伴い経済的困難を被らない」ことを指し、その推進は「持続可能な開発目標」の一つであり、国際的に重要な政策テーマです。
しかし、低中所得国では医療予算が限られているため、全ての医療技術(医薬品・医療機器等)を公的に給付することができていないのが現状です。そこでUHC 政策において特に重要となるのが、どの医療に予算を配分するかという優先順位付けになります。そのための科学的根拠(エビデンス)に基づく透明性のある意思決定プロセスの構築が急務であり、そのための基礎研究と政策応用の仕組みの導入は多くの低中所得国の課題となっています。
例えば、総人口1600 万人のセネガルでは、未だに基本的な医療すら受けられない国民が多い中、公的医療支出全体の20%以上が患者数200 人程度の人工透析に割かれています。国民全体の健康を見据えた予算配分プロセスの構築は喫緊の課題であり、その効率化だけでも数万人の命を救うことに繋がる可能性があるのです。
医療予算配分の効率化に向けた政策手段・プロセスとして近年国際的に広く導入され始めている方法として、医療技術評価(HTA)があります。HTA では医療技術の費用効果分析に加え、倫理・平等性等が総合的に評価される手法ですが、低中所得ではその政策を実行するための人材やノウハウが欠けており、支援が必要とされています。

 

本事業では、このような課題解決に向けて、タイ保健省医療技術評価機構(以下、HITAP)、マヒドール=オクスフォード熱帯医学研究ユニット(以下、MORU)、シンガポール国立大学公衆衛生大学院(以下、NUS)、一橋大学医療政策・経済研究センター(以下、HIAS Health)を中核とした医療技術評価コンソーシアム:The Southeast Asia Partnership for Policy and Health Intervention Research and Evaluation (SAPPHIRE)を立ち上げ、SAPPHIRE を中核とした、アジア・アフリカ地域におけるUHC 推進政策に向けた学術的な技術支援、特にHTA の政策導入に係る基礎研究と政策助言活動、及び若手研究者・政策担当者育成プログラムを実施していきます。

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研究拠点形成事業Bアジア・アフリカ学術基盤形成型