『社会保険旬報』第2985号(12月21日号)に荒井耕HIAS Health 研究員(一橋大学大学院経営管理研究科教授)、古井健太郎HIAS Health客員研究員(帝京大学経済学部講師)の論文「医療機関におけるハード及びソフト装備率の労働生産性への影響―有形及び無形固定資産額と医療用器械備品及びソフトウェア額―」が掲載されました。
 
医療界でも人手不足を背景に労働生産性向上の必要性が高まっており,  その手段としてICT等に期待が寄せられている。そこで本稿では,   職員当たりの無形固定資産及び有形固定資産の充実度をそれぞれ表すソフト装備率及びハード装備率に焦点を当てて,   ICT等による生産性向上と経営上の負荷への影響を分析した。 その結果,  有形固定資産全般のハード装備率の向上は労働生産性の向上には貢献するが経営上の負荷を高める一方, ICT等を中心としたソフト装備率は生産性の向上に貢献しつつ経営上の負荷とはならないこと,   また医療用器械備品の装備率であれば相対的に影響力は強くないものの生産性の向上に貢献しつつ経営上の負荷を高めないどころか軽減する可能性があること,   が明らかとなった。そのため, 労働生産性の向上を目指して職員の装備率を高めるための投資に際しては, 経営上の負荷を考慮する必要がある場合には, ハードよりもソフトを優先した方が有利であるほか, ハードについては建物中心の有形固定資産全般よりも医療用器械備品に焦点を当てる方が有利であることが判明した。
 
荒井耕古井健太郎(2025)「医療機関におけるハード及びソフト装備率の労働生産性への影響―有形及び無形固定資産額と医療用器械備品及びソフトウェア額―」『社会保険旬報』第2985号(12月21日号)pp.6-14.
 
参考:社会保険旬報 №2985(2025年12月21日)<外部リンク>