HIAS Health研究員の荒井耕教授(一橋大学大学院経営管理研究科)の著作『診療所の財務実態:多角化・多拠点化の財務的効果』(中央経済社)が刊行されました。
978-4-502-33071-1診療所の財務実態中央経済社
発行日 2020年1月21日
A5判/320頁
ISBN      978-4-502-33071-1

要旨

地域医療の主たる担い手である診療所の財務実態を把握することは、財政制約のある中、効率的で質の高い地域医療を実現し、地域医療の持続可能性を確保していく上で重要であるが、従来その実態は十分に明らかとされていない。本書では、診療所の経営類型に着目して、その財務実態を明らかにしている。また経営類型間の実態の比較を通じて、診療所の本来業務や附帯業務による多角化や診療所の多拠点化という事業拡大策の財務的影響を推察している。その結果、本来業務多角化の影響は、医科有床診療所が老健併営多角化する場合が一番良く、附帯業務多角化の影響は、老健併営医科診療所や医科有床診療所療養病床あり型での多角化が一番良いことなどが明らかとなった。また多拠点化の影響は、老健併営医科無床診療所の多拠点化が一番良いことなどが判明した。

目次

第1章事業報告書等データベースの概要 ―本研究の基盤―
第2章法人属性別の構成割合 ―経営類型への着目と定義―
第3章法人属性別の経済規模実態 ―資産額及び収益額への法人属性の影響―
第4章基本経営5類型全体及び医科歯科別の財務実態
第5章経営類型別の財務実態 ―多角化・多拠点化の財務的効果―
第6章法人属性別の財務実態 ―医科診療所のみ基本経営類型を対象として―
第7章経営類型別かつ法人属性別の財務実態 ―医科診療所のみ基本経営類型を対象として―
第8章医科診療所のみ基本経営類型における財務実態への法人属性の影響力 ―法人属性を説明変数とする回帰分析―
終章―本書の総括―