『社会保険旬報』第2942号(10月11日号)に、HIAS Health 研究員の荒井耕教授(一橋大学大学院経営管理研究科)の論文「地域ブロック別の新型コロナ流行による病院経営医療法人の損益への影響推移」が掲載されました。
 
医療法人の『事業報告書等』を活用して 、地域ブロック別に、新型コロナ流行による病院損益への影響状況の経年推移を, 補助金等の効果を含めて分析しています。事業採算性は流行初年度の影響状況も流行2年度目の回復状況も、また各地域内でのその格差の拡大状況も地域によって大きく異なった点や、流行関連補助金を含めた損益への影響は一部地域間ではかなり異なった点などを明らかにしています。また、 厚生労働省の『病院経営管理指標』と同じ病院類型・地域別にも事業損益への影響状況(「実態」)を把握し、『指標』の結果と比較した結果、『指標』は 7割~8割のケースで 「実態」から±1%pt以上乖離しており、また3割~4割のケースで流行による影響の方向が「実態」と真逆となっていることが判明しました。つまり 、『病院経営管理指標』 には十分な妥当性がなく、今後、『事業報告書等』などにより補完する必要があることも明らかとなっています。
 
荒井耕(2024)「地域ブロック別の新型コロナ流行による病院経営医療法人の損益への影響推移」『社会保険旬報』第2942号(10月11日号)pp.6-14.
 
参考:社会保障旬報2024.10.11 No.2942<外部リンク>