タバコ対策には課税、受動喫煙防止法と禁煙キャンペーンが効果的
タバコ税率引き上げ、受動喫煙防止法、禁煙キャンペーンは、喫煙を減らすための最も効果的な戦略となることが、一橋大学による研究によって示されました。
喫煙は、国内および国際レベルでの対策にもかかわらず、依然として重大な健康問題となっています。喫煙は早期死亡の主な原因の一つであり、喫煙や受動喫煙によるタバコへの暴露は、心血管疾患、がん、慢性呼吸器疾患、糖尿病などの非感染性疾患のリスクを増加させます。これらの非感染性疾患は、世界の年間死亡者数の約75%を占めています。
喫煙を防止し公衆衛生を促進するため、課税、大衆メディアキャンペーン、パッケージへの健康警告、マーケティングの制限、受動喫煙防止法、若者への販売制限、フレーバータバコの禁止、ニコチン置換療法(NRT)の無償提供など、世界中でさまざまな政策が実施されています。本研究チームは、喫煙行動に対するこれらの戦略の効果を評価するため、集団レベルでのタバコ対策を包括的にレビューしました。
476件の研究のシステマティック・レビューとメタ分析を行った結果、税率引き上げ、受動喫煙防止法、禁煙キャンペーンが、喫煙率とタバコ消費量の削減、さらに禁煙率、禁煙試行率、禁煙意向の増加に効果的であることが判明しました。タバコ製品のパッケージの健康警告、ニコチン置換療法の無償提供、フレーバータバコの禁止も、禁煙率の向上につながることが示されました。さらに、フレーバータバコの禁止は電子タバコの使用の削減にもつながることが分かりました。
一橋大学の筆頭著者であるShamima Akter博士は、「本研究は、喫煙を抑制するためのさまざまな集団レベルでの介入の効果について詳細なエビデンスを提供しています。禁煙キャンペーン、受動喫煙防止法、健康警告、税率引き上げが喫煙を減少させるための最も効果的な戦略であることが示されました」と述べています。
同大学の中村良太教授は、「本研究の成果は、政策立案者が集団レベルでのタバコ対策を設計し、また実施の優先順位を付けるための基盤を提供します」と付け加えました。
この研究は本日、「Nature Human Behaviour」に掲載され、オープンアクセスで利用可能です。
論文
Akter S, Rahman MM, Rouyard T, Aktar S, Nsashiyi RS, Nakamura R. (2024) A systematic review and network meta-analysis of population-level intervention to tackle smoking behaviour. Nature Human Behaviour. https://doi.org/10.1038/s41562-024-02002-7
https://www.eurekalert.org/news-releases/1060224<外部リンク>
http://dx.doi.org/10.1038/s41562-024-02002-7<外部リンク>